Exotic Baryon について

 最近ペンタクォーク粒子の発見 トライバリオン S0(3115)  の発見 などストレンジネスが関与した実験的な成果が相ついでいる。 これらの、いわゆる exotics と呼ばれる baryon 多体系は単純なクォーク模型からは その存在は否定されてはおらず、従来のバリオン、メソンによるハドロンの記述では 理解できないものとされている。しかしながら、 それが本当にクォーク多体系からなるコンパクトな構造を持つかどうかは現在のところ 不明である。特にペンタクォークについては 1540 MeV という低いエネルギー領域に 20 MeV 以下の幅という構造を構成子クォーク模型で再現するのは至難の業である。 また、トライバリオン S0(3115) についても、 それが本当に深く束縛された K 中間子 による高密度のバリオン状態であるかどうかについての実験的証拠は何もない。 これらの問題の根底には、我々がクォーク多体系を記述するハミルトニアンを実は 知らないという深刻な問題が存在する。それは、例え QCD を知っていても 重陽子や原子核の性質を正確に予言できないという事と同じことである。 従って、例えこれまでのバリオンやメソンの大まかな性質を記述する有効ハミルトニアン があったとしても、それを (ud)2 s bar 系に適用して正確に解きさえ すればよいというものでもない。そのような有効ハミルトニアンは実は 無数に存在するからである。 また、従来のバリオンやメソンの記述も構成子クォーク模型で説明できないものも まだ数多くある。更に例えそれが出来たとしても、こうした強い相互作用をする 系の動力学は考えうるすべてのバリオン-メソン配位との結合を考慮に入れて 初めて現実的な記述が可能なことは、原子核研究の長い歴史のなかで 我々が得た経験である。これらの実験的発見が本当に我々のハドロン多体系の 理解に革命的な変革をもたらすものかどうかはこれからの多くの実験的、理論的 研究の進展にかかっている。

ここでは、我々がこれまで研究してきたバリオンとメソンの構成子クォーク 模型を用いた理解とそこから見たペンタクォークの位置づけをバリオン間 相互作用との関係で議論する


KEK 研究会 (2004 年 3 月 16 日) での報告

バリオン-バリオン相互作用 [ppt file]
研究会報告 [ps file]

RCNP 研究会 (2004 年 12 月 24 日) での報告

クォーク模型バリオン間相互作用と少数粒子系物理 [ppt file]
研究会報告 [ps file]

Feshbach projection method によるペンタクォークの幅の検討

penta.ps [ps file]

Charmed baryon の mass spectra

charm.ps [ps file]

平成 16 年度教室発表会「学問の流れ」

nagare.ps [ps file]

過去の P-波バリオンの論文

  • Y. Fujiwara: Baryon-Meson Couplings in the qq} bar Pair-Creation Quark Model. I --- Coupling Constants of $S$-Wave Baryons --- , Prog. Theor. Phys. 88 (1992) 933 - 965
  • Y. Fujiwara}: Baryon-Meson Couplings in the qq bar Pair-Creation Quark Model. II --- Mesonic Decay Widths of P-Wave Baryons --- , Prog. Theor. Phys. 89 (1993) 455 - 492
  • Y. Fujiwara}: Baryon-Meson Couplings in the qq bar Pair-Creation Quark Model. III --- Energy Shifts of $P$-Wave Baryons --- , Prog. Theor. Phys. 90 (1993) 105 - 151

  • 「私たちの研究」に戻る